国際福祉機器展2017レポート:その3

国際福祉機器展2017
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先週開催されていた、国際福祉機器展@2017。
弊社も毎年恒例で見学に行きまして、
レポートその1:手動回転させる助手席シート
レポートその2:自動で昇降・回転する助手席シート
を書きました。

今回は、その3として
「チルトシート」とその他会場で気になったこと
について取り上げます。

 

チルトシートとは

 

トヨタの福祉車両の中に、
「チルトシート」が装備されたものがあります。
この「チルトシート」は他のメーカーでは
同じ機能のものは見当たりませんでした。

ここでいうチルトは、英語の「tilt」(傾ける)
という意味かなと思いますが、
まさに座面が傾く機能です。
レポートその1の手動式の助手席回転シートに
座面が傾く機能がついています。

実際のシートはこのように、これまでに紹介した
助手席シートと見た目はあまり変わりません。

トヨタ助手席チルトシート

この写真の座面横に、ハンドル型の操作レバーが
ついていますので、これを上に引き上げると
座席を回転・スライドさせることができます。
操作部分を拡大した写真がこちらです。

チルトシートの操作レバー部分

この操作レバーを掴むように上に引き上げると、
座席が回転します。
また、この写真にはありませんが、座席シートの
肩のあたりに座席の背もたれを傾けるボタンがあります。
(以降、チルトボタン)

操作方法は、例えば車から降りる場合だと、
(1)操作レバーを引き上げ、シートを最前面に移動する
(2)操作レバーを引き上げて座面を回転する
※回転し始めたら手を離す。
そうすると回転の中間地点の車内に乗り込む手前で
ロックされて一旦停止する。
(3)助手席に座っている人の足を車外に移す
(4)再び操作レバーを引き上げて座面を回転して、
回転終了位置まで回転する
(5)チルトボタンを押しながら、操作レバーを前に
引き出すよう移動すると座面が斜めに傾き、
立ち上がりをサポート

背もたれと座面が同時に前に押し出すような
動作となって、座席から立ち上がることが
サポートされる仕組みとなっています。

★実際に乗ってみて

チルトシートの座面が斜めになっているのは
乗車するときにもわかります。
前にずり落ちるほどではないけれど、
斜めになっています。

回転が始まると斜めではなくなり、
他の手動で操作する助手席シートと変わらず、
車内に移動することができます。
人がシートに乗車していても、操作レバーで
簡単に回転したり前後にスライドさせたりできます。
私が乗車していましたが、操作してくださる女性は
問題なく回転やスライド操作を行っていました。

座面が斜めになっていることで、
降車の際には前に立ち上がりやすい印象です。
座面が斜めなだけに、チルト操作をするときには
補助者が手を添えるなどのサポートがあるほうが
安心かなと思いました。

このチルトシートは、雨などでもシート自体は
ほとんど外に出ていないので濡れにくいということや、
操作のためのスペースを確保するときに、
昇降シートがあるタイプほどは広くなくてよい
という点にあるかもしれません。

ただ、「チルト」という言葉では斜めになることが
すぐにはわからないかなと思いました。
「チルト」って何?と言いながらシートに行き、
乗車したときに「あ~、座面が斜めになってるからだ!」
と納得したくらいです(笑)

操作方法や操作している動画はこちらのページで
ご覧いただけます。

助手席回転チルトシート車|トヨタ自動車
http://toyota.jp/sienta/welcab/tilt_p_kaiten/(リンク切れを確認:2022年10月18日)

 

助手席シートを選ぶときに確認したいこと

 

これまでに、
・手動の助手席回転シート
・自動で昇降・回転するシート
・手動で座面が斜めになるシート
をご紹介しました。

先程、チルトのところでも少し触れましたが、
それぞれの回転シートの特長から、
乗車する時や降車するときの動きを踏まえ、
予め考慮(確認)しておく必要がある項目として、

・車のドアは最大どの程度開くのか
・座席シートが外に出てきたときに左右にどの程度の
空間が確保できるか
(スライドドアタイプなどは左にも空間を取れるものが
あり、車いすから載せ替える時や、サポートする
ときに介助者がどのような動作をするかを考えて
検討する必要がある)
・降車した後に車いすに乗り換えるために自分で歩けるか、
あるいは車いすまで抱えるなどのサポートが必要か

などが、挙げられると思います。

 

マツダが考える運転サポートの魅力

 

助手席回転シート以外で気になったことを
少しレポートしたいと思います。

会場で障がいがある方が吸い寄せられるように
集まっていたのは、マツダのブースでした。
マツダは運転補助装置が付いた車を展示して
いたのですが、とにかく車がかっこいい!
(展示のデザインも)

足でのペダル操作が困難な障がいがある、
主に車いすを利用している人を対象として、
「マツダ ロードスター RF」
「マツダ ロードスター」
「マツダ アクセラ」
の手動運転装置付車が展示されていました。

自分で運転して走りたくなる車に、
運転補助装置がついているのですが、

クルマの持つ魅力である「走る歓び」によって、
美しい「地球」と心豊かな「人」・「社会」を実現し、
人の心を元気にすることを目指しています。

というコンセプトどおり、障がいがある方も
運転操作すること、走ることが楽しくなりそうな、
ワクワクする展示で、皆さんを惹きつけていました。

マツダ 福祉車両ページ
http://www.mazda.co.jp/cars/welfare/

 

近未来のタクシー

 

トヨタが「JPNタクシー」と書かれた、
タクシーを展示していました。
車高が高めで、一般のタクシーよりも大きめ。
PGを燃料とするハイブリッド仕様、
フェンダーミラーがついていました!

後席のシート座面が跳ね上がり、
スロープが標準装備で、後部座席に横から
車いすのまま乗車可能。
それくらい天井が高い!

実際に乗車してみて、後部座席の空間の広さに
副社長も私もびっくり!
乗り心地よく、しばらく乗っていたかった!(笑)
(しかし、試乗待ちの列ができていて断念!)

今回の展示はコンセプトモデルのようなので、
実際にこのようなタクシーに乗車できるようになるまでは
もう少し時間がかかりそうですが、
タクシーへの乗り込み時にも体の折り曲げなどの負荷が少なく、
乗り降りもしやすいので、こういうタクシーが
もっと広がればいいのになぁと。

以上、3回に分けてお伝えしてきました、
国際福祉機器展2017レポート。
来年の国際福祉機器展は、
2018年10月10日(水)~12日(金)
に開催予定です。

来年もテーマを設けて見学したいと思います!

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