国際福祉機器展(H.C.R.2023)レポート パート2

国際福祉機器展2023のエントランス画像
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今年で第50回を迎える国際福祉機器展(H.C.R.2023)の
リアル展の会場に赴き、現地で見学したことを
レポートでお届けします。
前回、パート1として、
「スズキ」と「マツダ」の展示内容について
ご紹介しました。

国際福祉機器展(H.C.R.2023)レポート パート1
https://s.willing-net.com/wp/?p=4757

今回は、その続編のパート2として、
「日産」と「トヨタ」について
ご紹介します。

日産|日産自動車株式会社(NISSAN)

日産は、昨年同様、車いすのまま乗車できる2台と
助手席昇降シートタイプの1台、
合計3台の展示がありました。

昨年のビッグマイナーチェンジにより、
車いす固定装置が操作しやすくなった
「キャラバン チェアキャブ」をはじめ、
昨年乗り込み体験をさせてもらった
軽自動車でありながらゆとりのあるドア開口高で、
背の高い方でも頭上を気にせず安心して乗り降りができる
「ルークス 助手席スライドアップシート」、
幅広い世代から人気を集める車種
「セレナ チェアキャブ スロープタイプ」の
計3台です。

ブース自体は明るくて車体が見やすい印象。
車のブランド名、どんな装置が載せられているのかなどは、
ドア側面に掲示してあるスタイルは
他メーカーと同じです。

展示会場でいただけた資料は、
日産の福祉車両「ライフケアビークル」総合カタログと
福祉車両フェアのチラシでした。

首都圏の日産販売会社グループで行われる
福祉車両フェアの日程や場所が書かれた
福祉車両フェアのチラシは、
国際福祉機器展に足を運ばれた方々に
有益な情報が掲載されています。

このようなチラシをいただけたのは、
日産だけだったので、高く評価できる一方、
これに加えて、最新の福祉車両に関する
技術情報が記載された資料などがいただけたらと
他車メーカーのブースと比較して感じました。

また、車いすを乗せるためのスロープ部分の展示は、
少々目立たない印象。

車いすを乗せる時のスロープの長さや角度は
乗せる時にどのくらい傾斜するのかといったことを
検討する際にとても重要な情報です。
もう少しわかりやすい表示だったらいいなと感じました。

少し気になったことは、車両が多く展示してあるため
見学するのに少々窮屈な気がしました。
もう少し細かい部分まで見学したかったのですが
人が多かったこともあり移動が難しく断念。

なお、今回の展示車両については以下をご参照ください。

ルークス 助手席スライドアップシート ハイウェイスターX 
https://lv.nissan.co.jp/LVCAR/ROOX/SIDESEAT/

セレナ チェアキャブ スロープタイプ 車いす2名仕様
https://lv.nissan.co.jp/LVCAR/SERENA/SLOPE/ 

キャラバン チェアキャブ 車いす1+1名仕様
https://lv.nissan.co.jp/LVCAR/CARAVAN/CHAIRCAB/

トヨタ|トヨタ自動車株式会社(TOYOTA)

福祉車両は2台展示

トヨタは、福祉車両のウェルキャブとして、
・ノア 車いす仕様車”タイプI”
・シエンタ 車いす仕様車”タイプI”
が展示されていました。

この車いす仕様車”タイプI”というのは、
セカンドシートの位置に車いすの方が
乗車できるタイプです。

「ノア 車いす仕様車”タイプI”」は、
車いすの方が乗車しない時は、
通常のミニバンとして使えるように
なっていました。

「シエンタ 車いす仕様車”タイプI”」は、
コンパクトミニバンであるシエンタの
バックドアを開けて車いすのまま乗車する形。
特徴としては、小型の車両の場合は、
スロープが急なことが多いのですが、
このタイプはスロープが約9.5度と緩やか。

また、車いすの方が乗車しない時には、
このスロープを起立させたり寝かせたりすることができ、
ラゲッジスペースを確保することができるように
工夫されていました。

さまざまなモビリティ技術

今回の展示では、モビリティ技術として、
以下の技術について紹介されていました。

車いすワンタッチ固定装置 

ハイエースのリフトに取り付けられていた
簡単で確実な車いすワンタッチ固定装置。
誰でも簡単確実に固定できるそうです。

この装置がバスや電車といった交通機関に普及すれば、
車いすユーザーの行動範囲が大きく広まりますね!

NUKUMARU (ぬくまる)

移動式ミストサウナをつんだ車。
予防介護・予防医療の観点から
外出する機会を創出することで、
高齢者の閉じこもり防止、
社会とのつながりの提供をめざす
モビリティサービスだそうです。

すでに長野県飯山市でサービス運行を
開始しているそうです。 

「迎えに来てくれるお風呂」NUKUMARU|移動式ミストサウナ
NUKUMARU(ぬくまる)は、移動式で本格的な蒸気浴(ミストサウナ)をご堪能いただけます。専用車両が巡回し、高齢者の皆様にお出かけの機会を持っていただくことで、介護予防に関わる課題をモビリティ分野から解決します。
nuku-maru.jp
モビリティライフコンシェルジュ 

高齢の方の安全運転を実現するための
アプリ開発をはじめとしたサービスです。

「高齢者が実際に乗車したルートや時間などを家族がアプリで確認」
「万が一の事故の時にアプリで安否確認を本人に行える」
「高齢者自身が自己の運転状況を同年代の平均と比較して把握できる」
といった高齢者運転の様々な問題点に
対応するべく現在サービスを開発中だと
担当の方からお話を伺いました。

自分も含めて運転者にとって大変興味深い話で、
今後の展開が非常に気になります!

ツギココ 

“認知症になっても不安なく外出できる社会を” 
ということで、かんたんに操作できる
徒歩ナビ「ツギココ」の紹介もありました。

一人で外出する際に、ルートを間違えても
すぐに教えてくれる腕時計型のナビだそうです。

モバイルトイレ 

普通免許でけん引できるバリアフリートイレ。
「行きたいところに、使えるトイレが来てほしい」 
という車いすユーザーの声から誕生したそうです。

会場には実際のモバイルトイレ車が展示してあり、
実際にどのように入るかを確認している
来場者の方もいらっしゃいました。

【公式】MOBILE TOILET/モバイルトイレ − 行きたい、のそばにトイレが行く
車いすユーザーの声から生まれた、いつでも・どこでも・だれにでも快適なトイレが使える、移動型バリアーフリートイレトレーラー。すべての人へ安心を届けるために普通免許でけん引できるバリアフリートイレです。
www.toyota.co.jp

 

Kinetic Sheet(キネティックシート)

人の骨格の動きに合わせて座面と背もたれが、
骨盤と背骨の運動軸周りにそれぞれ動くことで、
体幹の乏しい方、下肢に障害のある方たちも
少ない力で運転できるというシート。
絶賛開発中だそうです。

実際にキネティックシートを利用した方たちの声。

どのような仕組みかわかる説明用の模型もありました。

C+walk シリーズ

歩くをアシストするモビリティとして
展示されていたのは「C+walk シリーズ」です。

歩行者と同しくらいの速度で走行し、
前方の人や障害物を検知して
減速する機能を搭載しています。

スタイリッシュなデザインに
シンプルで小回りのきく操作性、
家庭用コンセントで充電が可能。
さらに、ノーパンクタイヤと注目点多数!
椅子タイプ、立って乗れるタイプの他、
さらに開発中の車いす連結タイプも
展示されていました。

トヨタ C+walk S | トヨタ自動車WEBサイト
トヨタ C+walk S の公式サイト。デザイン、走行性能、安全性能などの紹介をはじめ、販売店検索ができます。
toyota.jp
悪路走破性を兼ねた電動車いす JUU(ジェイユーユー) 

介助なしで、階段を上り下りや凹凸路を走行でき、
駆動モーターには、自動車で採用されている
電動パワーステアリングのモーターを採用し、
高い操作性を実現する電動車いす。 

今回のトヨタの展示の中で、間違いなく
最も注目を集めていました。
昨年も展示はありましたが、
今回はトヨタの展示エリアの中央に
大きくデモ用のステージを設置してあり、
そこで行われるデモンストレーションは
大賑わいでした。 

デモでは、車いすユーザーが運転席にいて、
すべてのドアが閉まった状態からスタート。 
まず、車体後部のハッチドアが自動でひらき、
さらに下部部分も畳まれました。
その様子がこちら。

そして、JUUが後部にある尻尾のような
ツールを自動で下げていきます。

尻尾のようなものが下まで下がった状態です。


この下がった尻尾のようなものを使って
車の段差を下りた様子がこちら。
下まで降りきると尻尾のような部品は
自動で上にあがって車いすの後部に格納されます。

さらに自動走行し、運転席のところまで
かけつけるのです。
周囲からは「すごい!」といった
感嘆の声があがっていました。

これら一連の動作は、すべて車いすユーザーが
タブレットでナビゲートしているそうです。

車いすユーザーがJUUに乗り込んだ後、
階段がある場所まで移動しました。
そして、階段を介助者なしで登ります。

降りる時も、尻尾のようなツールで
段差を捉えながら降りていきます。

この他に丸太が埋められた不整地を下りたり、
その場でくるりと回転するなど、
小回りがきく高い操作性をアピール。 

動作の度に光るブルーやグリーンの
ラインが美しいのですが、その色も
自分好みに変更可能だとか。 

現時点では、まだ開発中ということなので
車にデモンストレーションに利用する
QRコードが貼ってあるなどの様子もみられましたが、
それらは開発中のため貼り付けてあるとのこと。

実際にJUUが登場すると、車いすユーザーの
行動範囲を広げ、行動様式を大きく変化させる
ものとなるだろうなと思いました。

「すべての人に移動の自由を」 最新技術に見るトヨタの本気
「すべての人に移動の自由を」。トヨタが打ち出すモビリティ・カンパニーの理念を形にする技術が、テクニカル・ワークショップで披露された。
toyotatimes.jp
多様化技術 | コーポレート | グローバルニュースルーム | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト
global.toyota

今回の「国際福祉機器展 H.C.R.2023」の
見学レポートは以上です。
いかがでしたか?

展示しているものも、展示方法も、
また開発している製品も、それぞれの
メーカーごとに特徴がありました。

次回も、新たな取り組みや創意工夫、
そして新たな技術を見学できることを
楽しみにしています!


有限会社ウィリングでは、このような視察レポートや調査レポートなどの作成も承っております。
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